Oおばちゃんです。
養育費とは、別居する親が子どもを自分と同等の生活を送らせるために支払うお金のことを言います。
別居する親も子どもの親であることは変わりありませんので、養育費の支払いは当然の義務であると言えます。
民法第766条は父母が離婚する際に養育費について必要な事項を取り決めるものとし、もし話し合いで解決できないときは、同居する親が調停などを申し立てて相当な養育費の支払いを家庭裁判所が処分として判断できることを規定しています。
この記事では、養育費計算に役立つ年収の算出方法や養育費の未払いを防ぐ方法についてご紹介します。
養育費の計算方法
養育費算定表の養育費額の算定においては、子どもが養育費支払い義務者と同居したと仮定した生活費を養育費支払い義務者と養育費受給者の収入をもとに按分する、という考え方に基づいています(収入按分型)。
個別の割合がどのように決定されているかは下記の表をご参考ください。
父母が自営業者か、給与所得者か、養育される子どもが0~14歳か、15歳以上かによって計算の指数に変化があります。
また、計算方法は下記の通りです。
<<計算式>>
【基礎収入】
給与所得者:総収入×0.38~0.54(基礎収入割合)
自営業者:総収入×0.48~0.61(基礎収入割合)
【養育される子どもの生活費】
養育費支払い義務者生活費を100としたとき、
0~14歳の子どもの生活費指数:62
15歳以上の子どもの生活費指数:85
0~14歳の子ども1人の生活費:【基礎収入】× 62 ÷ (100 + 62)
15歳以上の子ども1人の生活費:【基礎収入】× 85 ÷ (100 + 85)
【義務者が負担すべき養育費の額】
【養育される子どもの生活費】 × 養育費支払い義務者の【基礎収入】 ÷ (義務者の【基礎収入】 + 養育費受給者の【基礎収入】)
<<基礎収入割合表>>
給与所得者
所得金額(万円) | 割合(%) |
---|---|
0~75 | 54 |
~100 | 50 |
~125 | 46 |
~175 | 44 |
~275 | 43 |
~525 | 42 |
~725 | 41 |
~1325 | 40 |
~1475 | 39 |
~2000 | 38 |
自営業者
所得金額(万円) | 割合(%) |
---|---|
0~66 | 61 |
~82 | 60 |
~98 | 59 |
~256 | 58 |
~349 | 57 |
~392 | 56 |
~496 | 55 |
~563 | 54 |
~784 | 53 |
~942 | 52 |
~1046 | 51 |
~1179 | 50 |
~1482 | 49 |
~1567 | 48 |
算定表を使えば年収別の養育費相場を簡単に計算できる
養育費の金額はいくらが目安なのか法律の専門家でもない限りわかりづらいため、父母が迅速に養育費の額を決定できるための指標として、現役の裁判官等から構成される「東京・大阪養育費等研究会」が標準的な養育費の額がすぐにわかる「養育費算定表」を作成していますので参考にすることができます。
養育費算定表は2020年12月23日に改定され、より社会状況に配慮した内容に変更されました。
養育費算定表は、子どもの人数と年齢に応じて分かれていますので、それぞれの家庭に適したものを選択します。
両親の年収の金額に基づいて養育費のおおよその金額がわかる仕組みになっていて、算定表の縦軸が養育費支払い義務者の年収、横軸が養育費受給権利者の年収となります。
両親が給与所得者の場合、年収とは源泉徴収票の「支払金額」(控除されていない金額)です。
給与所得以外に確定申告していない収入がある場合には、その収入額を支払金額に加算して年収とします。
自営業者の場合には、確定申告書の「課税される所得金額」が年収にあたります。
「課税される所得金額」に実際には支払われていない控除、例」えたとば、基礎控除、青色申告控除、支払われていない専従者給与などがあれば、これを加算して年収とします。
一方で、児童扶養手当や児童手当は養育費受給者の年収に含める必要はありません。
両親それぞれの年収額から伸ばした線が交差した欄の額が、標準的な養育費の額(月額)となりますので、子ども1人あたりの金額を確認することができます。
なお、算定表は子ども3人までしか対応していませんので、子どもが4人以上いる場合は上記の計算式に従って、別途計算する必要があります。
簡単に計算できるツールもあります。
養育費については父母同士での話し合いで、円滑に決められることが理想ではありますが、このように算定表があるとはいっても、子どものことでは感情的になることを避けられない場合も多いでしょう。
そのような時は、費用はかかりますが弁護士を代理人として依頼すると冷静に話し合いができるかもしれません。
また、弁護士を代理人とすることで、法律の専門家としてのアドバイスをもらうことも期待できます。
話し合いで養育費について決定した場合は、その内容を公正証書にして残しておくことを忘れないようにしてください。
養育費計算のために相手の年収を調べる方法
養育費の計算方法については上記の通り、裁判所ホームページで公開されている「養育費・婚姻費用算定表」を目安とすることが基本です。
この算定表を利用するには、養育費受給者の年収、養育費支払い義務者の年収がそれぞれ判明している必要があります。
算定表の縦軸が、養育費支払い義務者の年収を表し、下軸が養育費受給者の年収を表していて、それぞれ該当する額から伸ばした線の交差する箇所の範囲の金額が養育費の額の目安になるからです。
それでは、相手の年収はどのように確認したらよいのでしょうか。
収入を確認できる資料には下記のものがあります。
いずれも、別居等してしまってから確認することは難しいので、同居中に把握しておくことが望ましいです。
- 預金通帳
- 給与明細
- 源泉徴収票
- 証券口座の通帳
- 確定申告書
- 不動産登記簿
- 生命保険証書
給与所得者の年収を調べる方法
給与所得者の収入額を証明する資料としては、給与明細、源泉徴収票、確定申告書が適切です。
養育費算定にあたっての年収を証明してもらうためには上記の3点のうち1つを確認させてもらいましょう。
ただし、給与明細には賞与が含まれていないので、注意が必要です。
自営業者の年収を調べる方法
自営業者には源泉徴収票はありませんので、年収を確認するための資料としては、確定申告書が適切でしょう。
今回は養育費相場の計算に使う年収の算出方法などについてみていきました。
次回は養育費が増額・減額される要素と、養育費の未払いを防ぐ方法などをご紹介したいと思います。