こんにちは。Oおばちゃんです。
今回は離婚の方法について解説していきますね。
協議離婚
協議離婚では、離婚届に必要事項を記載して、役所の戸籍係に提出して、受理されれば離婚が成立します。
夫と妻の合意があれば、離婚理由は何でもよく、裁判所などの第三者はまったく関与しません。当事者のみです。
協議離婚の手続きは、おおまかですが、離婚の話し合い→協議成立(合意)→離婚届記入→役所への離婚届の提出→役所の受理→離婚成立、です。
協議離婚で慰謝料や財産分与など決定したことがあれば、公正証書にしておくことが安全です。
公正証書は公証役場において公証人が作成する文書で、離婚はもちろん、金銭貸借の件や遺言書を作るときなどにも利用されています。
公正証書に「執行認諾文言」をつけることで、将来的に支払義務者等が支払い等を怠った場合、強制執行手続きをすることができます。
夫婦だけの離婚で、問題になることが多いのはお金の問題ですから公正証書にしておくことは重要です。
調停離婚
調停離婚とは、裁判所が話し合いに手を貸してくれますが、基本的には夫婦の話し合いと合意による離婚です。
法定離婚事由がなければならないわけでもありません。
調停の申立
調停の申立は、家庭裁判所に行います。
離婚調停の申立書は、家庭裁判所の事件係に備え付けたものがありますが、手続きに不安がある人は、家庭裁判所で家事手続案内をしてもらいましょう。
家事手続案内は無料です。家事手続案内を受けると調停の申し立ての仕方も教えてもらえます。申立書の書式を受け取って記載しましょう。
調停
調停を申し立て、添付書類や記載に不備がなければ、家庭裁判所から「期日の指定・呼出」の書類が郵便で届きます。申立人だけではなく、相手方の住所にも郵送されます。相手方は、相手方自身の事情を返送書類に書き込んで家庭裁判所に返送をします。
このようにして第1回の期日が決定されます。
調停には本人の出頭が原則必要です。およそ月1回の期日ですので、仕事や家事などを調整して出頭することになります。たとえ弁護士を依頼したとしても、弁護士に任せきりにはできません。
調停当日は、当事者(夫と妻)と調停委員2名が調停室で話し合いをします。
申立人と相手方(それぞれ夫と妻)が同席していると仲たがいが激しい等、話しにくいこともあるので、調停委員は夫と妻を別の控室に待機させ、交代で別々に事情聴取を行います。
調停は1回で終わることは少なく、およそ5~10回くらいの間に結論が出ることが多いです。
調停は、手続きが簡単で、弁護士(代理人)を依頼しなくても本人のみで遂行することができますし、費用も安いです。
だからといっては何ですが、期日には本人が裁判所に出頭しなければならないという特色があります。
また、経験豊富な調停委員が関与するため、どちらか一方に著しく不当であったり、不公平な離婚を避けることができます。
調停が成立すると
調停によって夫婦間に合意があり、家庭裁判所もそれを認めれば調停離婚は成立します。
裁判所で調停離婚が成立したとはいっても、役所の戸籍係に離婚届を提出することは必要ですので注意しましょう。裁判所から案内がありますが、離婚届の提出の期限もありますので、忘れずに。
決定された事項は調停調書という、判決と同じ効力をもつ文書に記載されます。
判決と同じ効力ということはつまり、調停調書に記載されたことが履行されない場合は、最終的には、執行を行うことができるのです。
裁判離婚
裁判の提起
離婚裁判の提起は、家庭裁判所に訴状を提出することから始まります。
訴状に何を記載するべきかは、法律(民事訴訟法)に定まっており、調停のように申立書が裁判所に設置されているわけでもなければ、手続案内を受けられるわけでもありません。
ですので、もちろん本人訴訟ということもできなくはないですが、できれば弁護士を依頼する方が手続きの煩雑さを考慮しても、間違いを起こさないという意味でも、安心ですし、裁判所や相手方との話し合いがスムーズになります。素人が訴訟をおこなっても、なめられてしまうということも少なくないですから、ここは自分の主張を裁判所に聞き入れてもらうための必要経費だと前向きに考えて弁護士をつけることをお勧めいたします。
また、離婚裁判を提起するためには前にも述べたように、不貞行為、悪意の遺棄、三年以上の生死不明、回復の見込みのない強度の精神病、その他婚姻を継続しがたい重大な理由の離婚原因が必要です。この離婚原因が存在することを裁判を進める中で証明して、離婚が認められるのです。
訴状の作成、提出については弁護士が金額や必要書類を確認して教えてくれるので、指示に従いましょう。
裁判の流れ
裁判を起こした方を「原告」、訴えられた方を「被告」と言います。
被告は、裁判所から「期日通知及び答弁書催告書」と「訴状副本」(副本とは訴状の正本(裁判所に提出されたもの)と全く同じ、写しのことを言います。)が届いて、自分が原告から訴えられたことを知ることになります。
通常は訴状を提出してから1か月から1か月半くらい後に第1回の口頭弁論期日(出廷日)が決められます。
調停とは違い、被告が原告の訴えを無視して期日を欠席すると、被告は原告の主張を認めた、と裁判所から認定されて、欠席判決で負けてしまいますので、被告は注意しましょう。
その点、弁護士に訴訟を委任しておけば、原告も被告も、本人の答弁が特に必要な時以外、本人は出頭しなくてよいので、その点でも弁護士の必要性が高まりますね。
離婚裁判は、当事者たちだけでの話し合いで済んだ調停とは違い、公開の法廷で審理されます。
出席者は、まず裁判官、書記官、廷吏(裁判所事務官)、原告と原告代理人(弁護士)、被告と被告代理人です。このほか、公開の法廷での審理ですので、傍聴人がいる場合もあります。
裁判は証拠がものを言います。
不貞の行為があったこと、悪意の遺棄(突然出ていった、追い出されたなど)の事実、性格が合わず結婚したまま生活を続けることができない、という離婚原因については訴えを提起した原告が立証しなければなりません。証拠を提出し、必要があれば証人(原告、被告以外の第三者で、その者が経験した事実について述べることができる人)をお願いして出廷してもらう必要があります。
判決および和解
そのようにして、離婚が裁判所で認められると「原告と被告は離婚とする」と判決が言い渡されます。
ですが、裁判手続きには控訴(地裁での離婚裁判の判決に対して不服であると高等裁判所に申し立てること)、上告(高等裁判所での離婚裁判の判決に対して不服であると最高裁判所に申し立てること)が存在しますので、原告も被告も控訴もしくは上告しないことが確定した(これを判決が確定するといいます。)時点でようやく離婚成立となります。
判決ではなくても、裁判の途中で話し合いによって離婚することになる場合もあります。これを「和解」と言います。裁判官が和解を勧めてくることもあります。
和解手続は裁判の期日よりもこまめに期日が指定され、2~3週間に1回の頻度で、2、3回話し合ってみます。和解成立の可能性があれば、和解の方向で話を進めます。
和解の可能性が低いと判断されれば、和解手続は打ち切られ、判決に方向を戻します。
判決が言い渡されるのは、裁判を提起してからおよそ10か月~1年先になります。
このように、裁判は長期にわたることもあり、そうすると必然的に弁護士費用もたくさんかかることになりますし、時間とお金がかかりますので、とても大変です。
判決によって、離婚の効果は生じますが、役所の戸籍係への離婚届の提出が必要です。
期限は、判決の確定から10日以内に、原告が届け出ることになっています。
その際には離婚裁判の判決の確定証明書(判決が確定したことを証明する書面)と、判決の謄本を一緒に提出します。判決の確定証明書と謄本は裁判所に発行を依頼します。