「毎日のように夫が電話をかけてきて必ず『子どもの親権はお前には渡さんからなあ!』と言ってくる」
これはあるクライアントさん(Wさん)のお話です。
現在夫とは別居して、母であるWさんが子どもと共にWさんの実家で一時的に暮らしています。
そこへ、子どもの面倒を昔から一切見てこなかった夫が「子どもの親権は渡さない」と主張してくる。
このように、離婚を考えるとき、親権がスムーズに決まらない恐れがあると、とても困ってしまいます。
そこで今回は、〈今、わが子と暮らしていて今後も「親権」を獲得したいお母さん〉に向けて、離婚カウンセラー「O」おばちゃんがお話します。
親権はかならず離婚前に決めなくてはならない
「親権」とは、未成年の子どもに対する親の責任や義務のことをさします。
離婚届けには離婚後の親権者を記載する欄があり、かならず父と母のどちらが親権を持つのかを決めてから離婚届けが受理されます。
「親権」について離婚後に変更するのは極めて難しいと思っておいた方がよいです。
ここは離婚時にしっかり親権獲得に向けて動いていくことが重要です。
【相談例:Wさんの場合】
Wさんのケースでは、夫は旧家の長男で、2人の間に産まれた子どもは男の子。
「お前(Wさんのこと)が出ていくのは勝手だが、子どもは俺の家を継ぐ大事な存在。」
「俺の実家で育てるから子どもを渡してお前だけ出ていけばよい」
というのが、夫の主張です。
しかし長男が産まれてからの子育ては、ほとんどWさん一人に任せきり。
「夫の実家がどうだろうと、私は息子と生きていきたいんです。」というWさんの想いは当然のことです。
それでも、自信満々に「金を稼いでもいないお前がどうやって子どもを育てるんだ。子どもは置いていけ」と言われると、不安を感じてしまうそうです。
親権の90%は母親が獲得しているという事実
「現在専業主婦などで稼いでいない母親が親権を獲得できるのか」と不安になることも。
日本の現状はどうなのでしょうか。
法律事務所のHPにこんなグラフが掲載されていました。
引用元:離婚弁護士ナビHP「離婚裁判で親権を勝ち取るポイント4つ」
このグラフから、「親権の90%を母親が獲得している」という現状が読み取れます。
今現在の母親の資力も多少関係はあります。
それでも「普段から子どもの身の回りのお世話をしている母親が親権を持つべき」と裁判所が判断してくれることが多いということがわかります。
自信をもって、親権獲得に向けて前進できる材料です。
親権を決める流れ
親権を決める流れはまずは夫婦間の協議がスタートラインです。
どうにかして夫婦間の協議で決めたいところですが、どうしても決まらない場合には、第三者が入っての決定にかわってゆきます。
引用元:離婚弁護士ナビHP「子どもの親権を獲得したい方が離婚時に親権を勝ち取る為の6つのポイント
2人の協議で同意に至らなければ、次は「離婚調停」です。
いきなりすっ飛ばして離婚訴訟になることはありません。順番に進めてゆきます。
「離婚調停」では、調停委員と裁判官が仲介として入ります。
母として子どもと暮らしている場合には、その現状を聴いてもらうことができます。
普段の子どもとの暮らしを詳細に記録しておきます。
そして「子どもと私が一緒に暮らすことがこういった面から大切なのだ」ということを、伝えられるようにしておくことが大切です。
子どもが小学生以上になると、調査官が子どもに意見を聞いてくれるようになり、子ども自身の意見が反映されます。
連れ去りに注意
調停で子どもの親権を決定する際に、「現在の監護状況」→今だれと暮らしているのか。が重要な決め手になることも多いです。
そこで、その事実を作ろうと「夫が子どもを連れ去ってしまう」場合があります。
別居中や調停中に起こりがちな事案です。
子どもがまだ小さく、つねに母親と共に居るなら大丈夫。
しかし、保育園や幼稚園、学校など母親と離れる生活パターンが日常に入っているなら、充分に注意しなくてはなりません。
夫の実家が子どもの親権を希望しているケースでは、夫の両親も「子どもを監護すること」に協力してくる可能性があります。
完全に防ぐことは、(父親も子どもの親であるため)難しいのですが、出来る事はあります。
【連れ去りに対してできること】
- 事前に保育園や学校に対して事情を話しておく。
→特に保育園などで園児をそのまま保護者に引き渡す(送り迎えがあるパターン)場合は、父親やその家族が来たら連絡をくれるように頼んでおく。 - つねに、保育園や学校とは普段以上に密に連絡を取って子どもの生活状況などを伝えておく。
- 親しいママ友にも、「父親を見かけたら連絡してほしい」と頼んでおく
もしも連れ去られてしまったら
もし、子どもが連れ去られてしまい、取り戻せない場合、「子の引渡し調停」を素早く起こす必要があります。
家庭裁判所にすぐに相談しましょう。
無理やり連れ去った場合には、夫に対してマイナスの評価が付くだけです。
焦らずに、しかし素早く対応することが肝要です。
今一緒にいるなら、子どもとの毎日をまず大切に
10か月大切にお腹の中で命を育み、その子を産んだのはまぎれもなく母であるあなたです。
今わが子と一緒に暮らせているなら、まずは子どもとの毎日にエネルギーを注ぎましょう。
あなた自身が子どもと共に笑う時間を作ることを、心からおすすめします。
子どもと共に笑ったポジティブなエネルギーが、未来を切り開きます。
一日も早く親権を獲得できるよう、祈っています。