養育費をかならず払ってもらうために~いくらもらえる?準備と対策~

離婚するにあたって、お子さんを育てていらっしゃるなら絶対避けては通れないのが「養育費」。

離婚後の「養育費を払ってもらえない」というお悩みは深刻なものです。

離婚後、女性が「働く」「働かない」とは全く関係なく、父親は親としての責任を果たすべき!

今回はそんな「養育費」について、離婚カウンセラー「O」おばちゃんがお話します。

養育費っていくらもらえるの?

まず気になるのは、「養育費はいくら請求できるのか」ですよね!

双方が協議して決めるにしても、相手が最初から高額の支払いを申し出てくれるケースはまれ。

普通は「払う側は少なくしたい」「もらう側は多くしたい」ものです。

基準になる金額として、実際の離婚訴訟で使われる「養育費算定表」が裁判所のHPに載っています。(裁判所HP「養育費算定表」令和元年12月23日公表)

「養育費算定表」を見ると養育費が

①子どもの人数
②子どもの年齢
③支払う側の年収

によって算定されるということがわかります。

しかし、「実際うちの場合いくら?」を素早く知りたい場合、表を見ても結構難しい(゚Д゚;)。

そんな場合は「養育費 計算」でGoogle検索してみることがオススメ!

「養育費算定表」を基に簡易計算できるサイトが紹介されています。

算定された金額が請求できるわけではありませんが、目安を知る意味で一度計算してみる。

すると「あぁ、これが基準なんだ」って感じられると思います。

養育費は必ず払ってもらうもの

養育費

養育費とは、親権を持って子育てをする方の親が、子育てをしない方の親に対して請求する「子どもを育てていくための費用」のことです。

この記事では、「子の親権を持つことになる母親」が「子の父親である夫」に対し養育費を請求するケースとしてお話を進めます。

これから一人で子育てを担う「母親」にとって、最も大きな不安は「お金どうしよう」やと思います。

特にお子さんが小さかったりすると、すぐに働くといってもめちゃくちゃ大変。

「養育費」は絶対確保しておきたい資金です。

「養育費」は、「子の父親である夫」に支払い義務があります。

「生活が苦しいから払えない」はNG!

夫自身の生活水準を落としてでも支払う義務のあるお金です。

でも養育費の支払い方法はほとんどの場合「毎月支払い」です。

そのため、長い将来のどこかで「支払いが滞る」可能性があり、めっちゃ心配になるわけです。

それは避けたい!

そこで、出来る限りの準備として、「公正証書」というものがあります。

養育費について「公正証書」を検討してみよう

協議離婚の場合、当事者間で話し合って終わるので、紙に書いて残さないことも多いです。

早く離婚を成立させたい場合はなおさら、ややこしい手続きをすっ飛ばしたくなります。

でも、養育費については長期にわたる金銭授受が発生します。

そこで確実な支払いのために有効とされる「公正証書」について、ここで検討してみようと思います。

 

「公正証書」とは?

「公正証書」とは、公証人役場で保存される公文書のことです。証明力や執行力があるとされています。

ややこしい感じがしますよね。

個人で勝手に作るというよりは、行政書士事務所に相談して作ることが多く、相談すれば流れなども教えてもらえます。

「公正証書」を取り交わしておくことのメリット

まずは、「公正証書」作成のメリットについて。こんなイメージです。


養育費の支払いが滞る

「公正証書」があれば

家庭裁判所からの強制執行が可能

相手方の給与を差し押さえることも可能


お互いに「未来」に何が起こるかはわかりません。

今は必ず払うと約束してくれていても、10年後はわからないのです。

「公正証書」に付いている、「強制執行の機能」が安心を感じさせてくれるメリットと言えます。

現実的にはこんな感じ 「公正証書」のデメリット

では、「相手が払わないなら、強制執行で取り立てができるので安心!」かというと、そうは言いきれない面があります。

養育費不払いの際の強制執行が使えるのは「相手の勤務先が特定できる」場合のみ

相手の勤務先が変更されていたり、自営業であったり、消息不明な場合には、役に立たない制度でもあります。

そして、行政書士事務所に相談し、「公正証書を作成する費用」は5万円~7万7千円。

(参考:行政書士 東京中央法務オフィスHP「公正証書の作成にかかる費用」)

高額であり、完成までには細かい取り決めなどで手間もかかります。

「公正証書」作成のデメリットは、「費用と手間がかかるが、養育費の支払いが絶対に保障されるわけではない」ところと言えます。

それでも「公正証書」を取り交わしておく本当の理由

デメリットもある「公正証書」を取り交わす理由。

それは、「スッキリと前を向き、かつ支払いの可能性を高めるため」です。

離婚を決断した後は一日も早く相手と離れたいと感じ、感情面が勝ってしまうことがあります。

「お金のこととかどうでもいいから、とにかく縁を切りたい」

そして、その感情のまま「話し合いのみ」で離婚手続きを終える。

離れて暮らし、冷静さが戻ったころ、「もっと財産面での話を詰めておくべきだった」「もらえるものを、もらい損ねた」と気づく。

しかし、そこから財産面の話を再度進めるのは、ほぼ不可能なのです。

そこで離婚前に、時間も手間もお金もかかる「公正証書」に向き合って、養育費を含めたお金の問題を細かく確認し合う。

とっても大変ですが、落ち着いて双方のズレやモレがないように詰める。

そうすることで、離婚成立後はスッキリとした気持ちで前を向くことができます。

さらに、「強制力がある」ことを相手に認識させることで、心理的に「払わなくてはならない」と思わせ、最後まで支払ってくれる可能性を高めることができます。

実際に強制執行になれば、会社に「養育費の不払い」がバレることになり、相手にとっては社会的に不都合が生じることを、相手は想像するからです。

めちゃ大変な「公正証書」ですが、検討する価値はあると思います。

前を向くために

お子さんを育てながらの離婚の決断。

「自分のためよりも、この子のために、離婚する」と決断されるお母さんにも、多く出逢ってきました。

それは未来の母と子の幸せにつながる決断。だからこそ、しっかりと取れるものは取って前進してほしい!

母と子でいっぱい、笑えるように。

あなたの前進を祈って締めくくりたいと思います。

養育費